薬学部生にとっての大きなイベントの1つに実習があります。
実習をする必要があるのは知っているけれど実際実習の期間や実習先の決め方など知らない学生が多くいます。
そんな学生は何も知らないまま突然、実習が始まってしまうのではないかと思って不安になってしまいます。
そこで今回は実習の期間・実習内容を詳しく解説していきます。
この記事は以下のような人はぜひ読んでください。
- 「実習をなぜするのか知りたい」
- 「実習先をどうやって決めるのかわからない」
- 「実習期間を詳しく聞きたい」
この記事を最後まで読むことで実習に対する基礎知識をつけることができます。
実習って何のためにするの?
病院実務実習・薬局実務実習は、調剤および製剤、服薬指導などの薬剤師職務に必要な基本的知識、技能、態度を修得するために行います。
簡単に言えば、大学を卒業した後に薬局や病院へ勤めた時にスムーズに業務が行えるようになるために実習に行きます。
学校を卒業した後は一人前の薬剤師として業務を行う必要があります。
その時に薬剤師としての心構えや業務内容を知らないままでは「薬剤師」として働くことができません。
例えば、服薬指導をしようと思ったときに服薬指導をしたことがないと、患者さんへの聞き取りが満足に行えないかもしれません。
薬の説明はどこまで詳しく伝えるべきなのか、どんな言い回しをすると患者さんの反応がいいのかなど現場でしか学べないことがあります。
実習ではそのような現場で働く薬剤師さんのテクニックや心構えなどを学ぶことができます。
そのため、実習は薬剤師職務に必要な技術を身に着けるために行う必要があります。
実習期間:病院と薬局合わせて22週間
実習は4年の2月~5年生の2月までの間に行われます。
実習期間は4期制になっていて、そのうちの2期で行います。
1期は11週間になります。
最初に薬局実習を行い、次に病院実習を行います。
薬局実習11週間、病院実習11週間の計22週行うことになります。
何期に実習を行うかは学校によって決まっています。
他の大学と期間が被っている場合は他の大学の薬学部生と一緒に実習することになります。
薬局実習と病院実習の間には2週間の休みがあります。
この2週間は次の実習場所への移動、レポートの提出、次の実習先への挨拶などを行います。
例として令和3年度の実習日程は以下の通りです。
- 第Ⅰ期:2/22(月)~5/9(日)
- 第Ⅱ期:5/24(月)~8/8(日)
- 第Ⅲ期:8/23(月)~11/7(日)
- 第Ⅳ期:11/22(月)~2/13(日)
実習先の決め方
実習先は病院と薬局でそれぞれ決め方が異なります。
病院実習は希望の病院を選択できますが、薬局実習は基本自宅から近い場所を先生が選びます。
詳しい内容についてはこれから書いていきます。
病院の決め方:希望の病院を選択できる
病院実習では自分の行きたい病院を希望できます。
受け入れてくれる病院の名前と住所、受け入れ人数が記載されている一覧から自分の行きたい病院を選びます。
そのため、病院への通勤距離や何も主に診療している病院なのか調べて選ぶことができます。
就職前に長期で病院の中の状況を知る機会は実習意外だとほとんどありません。
なので、将来行きたい病院がある人はその病院を選ぶといいですね。
注意点としては、人数や通勤距離の関係で希望の病院へ行けないこともあるということです。
病院側にも受け入れること人数の制限があるため他の大学と実習期間がかぶっていると第一希望の病院には行けないかもしれません。
その際は第2希望、第3希望の病院か他の自宅からの距離の近い病院になります。
第2希望、第3希望の病院もしっかりと考えて決めましょう。
薬局の決め方:基本家から近いところを先生が選ぶ
薬局は基本選べません。
受け入れてくれる薬局の中から担当の先生が決めます。
おおよそ、自宅の近くの薬局になることが多いです。
地元から通いたいのか一人暮らしの家から通いたいのか希望をとってくれるので、自分の希望を伝えておきましょう。
自分の生活圏内の薬局に行くので今まで行ったことのある薬局になることが多いです。
私は実習中に知り合いの方が結構いらっしゃいました。
場所や道をすでに知っていることが多いので通勤に困ることはほとんどありません。
実習で学ぶこと
実習ではカリキュラムが決められており、そのカリキュラムに沿って実習が行われます。
それぞれのカリキュラムの項目ごとに評価を段階的につけることで単位が認定されます。
実習内容の評価は病院と薬局で共通している部分は統一されています。
そのため、同じ項目を2度学ぶ必要がなくなりました。
評価の項目は以下の通りです。
薬学臨床の基礎(臨床における心構え)
- 生命の尊厳と薬剤師の社会的使命及び社会的責任
具体的に言うと、患者さんの目線にたって、患者さんを最優先し利益を尊重して行動できる。
薬剤師に求められる責任について知り自分の行動を律することができるようになるということです。
医療人としての責任と患者さんの権利を知りましょうということです。
処方せんに基づく調剤
- 処方監査と疑義照会
- 処方せんに基づく医薬品の調製
- 患者・来局者応対、情報提供・教育
- 医薬品の供給と管理
- 安全管理
処方箋に問題がないかを確認してもし、問題があれば処方医に疑義照会をします。
そのあと処方箋に基づき調剤して服薬指導を行います。
薬を切らすことなく安全に管理して患者さんに薬を届けれるようになりましょうということです。
最初から疑義を見つけたり薬の管理ができるわけではないので指導薬剤師の方に教えていただきながらゆっくりとできるようになっていきます。
薬物療法の実践
- 患者情報の把握
- 医薬品情報の収集と評価・活用
- 薬物療法の問題点の識別と処方設計及び問題解決
- 薬物療法の効果と副作用モニタリング
具体的には患者さんの情報を集めて整理して治療に活用します。
患者さんに一番適した医療を見つけるために薬の情報を集めてどんな薬を処方するのがいいのか考えます。
そして、薬がきちんと効いているかの確認ができるようになりましょうということです。
患者さんへの薬物療法の提案から問題解決までできるようになります。
チーム医療への参画
- 医療機関におけるチーム医療
- 地域におけるチーム医療
医療機関における他の職種の人、地域における他の病院などの医療機関との連携を取れるようにしましょうということです。
カンファレンスへの参加や他の病院との患者さんの情報のやり取りの場面などを見せてもらえます。
どんな風に他の医療関係者とコミュニケーションをとればいいのかがわかるようになります。
地域の保健・医療・福祉への参画
- 在宅(訪問)医療・介護への参画
- プライマリケア、セルフメディケーションの実践
- 地域保健(公衆衛生、学校薬剤師、啓発活動)への参画
- 災害時医療と薬剤師
在宅や学校薬剤師などの地域への貢献や災害時などの非常時での薬剤師の役割を知りましょうということです。
在宅医療では、訪問に一緒に連れて行ってもらったり薬剤師の先生とデモンストレーションを行ったりします。
学校薬剤師の活動を見たり、啓発活動への参加もさせてもらうことができます。
薬剤師の通常業務以外の課外業務を知ることができます。
実習での具体的な内容についてもっと知りたい人はこの記事を読んでみてください!
まとめ
実習期間は22週間と長期にわたります。
しかし、実践に関わることができるのは6年間を通してこの22週間しかありません。
地域と密着した在宅医療に力を注いでいる薬剤師や学校薬剤師として地域の公衆衛生の向上を目指している薬剤師と一緒に行動し指導してもらえる。
病院でカルテを見ながら処方提案をしている薬剤師、患者さんとの触れ合いを密にし患者のQOLの向上が上手な薬剤師を見ることができます。
将来自分の目指す薬剤師像というものが見つかるかもしれません。
薬のプロフェッショナルとして最前線で働いている先輩方の胸を借りて多くのことを学びましょう!
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